C97情報。

何の因果か当選してしまいました。

12月31日(月)
西地区 ”I” ブロック 04a  trash style

になります。

新刊はがんばります(えっ、それだけ?)

…いやもう生活するだけでいっぱいいっぱいなんですよ実際(爆)。

『クロール/凶暴領域』

アレクサンドル・アジャ監督。2019年。87分。
『JOKER』がゲッソリするような映画だったので口直しというか脳内リフレッシュを願って観たこの映画、大当たりでございました。こういう映画こそIMAXでやってほしかったな。 ハリケーンが襲ってきている田舎町にやってきた女性ヘイリーは隠遁するような生活をする父の所在を確かめるために実家にやってきたが父の姿はない。地下室に行くと大怪我をした父が倒れていたので救助しようとしたところに突然ワニが襲ってくる…! というあらすじ(そんなアホな!? と思うがちゃんと理屈が通してある)。 監督が『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006)、『ピラニア3D』(2010)のひとだったので期待していたのに、この映画のレーティング指定がPG12だったので少しガックリしたけど全然オッケー。血の量は少ないけれどワニに食われるシーンはしっかりあるし(名称は知らないがワニが捕食した獲物をくわえたまま身体を回転させる運動をするシーンもちゃんとある)、ゴア描写もキッチリしていたので大満足(多分ソフト化の時にグレードアップするだろう)。ハリケーンの影響で床下浸水が進むなか、地下室のなかでワニと対峙する展開は盛り上がること請け合い。劇場の大画面と大音響で観てほしい。しかし、この手の映画って、アメリカ映画なんだけどフランス人が監督し、撮影自体はアメリカではなくセルビアで行っているあたり、あんまり予算かけられねーんだろうなあとか、ホラーをやろうとするひとがもうヨーロッパ人しかいねえのかとかショッパイ思いが交錯するのだが、まあいいや。ぼくが『JOKER』をクサして『クロール/凶暴領域』を褒めることで、なんだ単純な映画しか面白がれねーのかと思われる方、いらっしゃるだろうが、ぼくはそういう単純な人間だし、『JOKER』だって単純な映画だと思う。けどまあどうでもいいや。アレクサンドル・アジャが意気軒昂そうなので良し。

『JOKER』

トッド・フィリップス監督。2019年。122分。
話題というか、周囲で毀誉褒貶が激しいので見に行った。ぼくはいわゆるアメコミ映画には殆ど関心がない。『バットマン』(ティム・バートン/1989)くらいしか覚えていない。もっといえば『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン/2008)とかも見たかな? という感じなくらい、コスプレしたひとが暴れる映画には関心がない。持病持ちで貧しい暮らしをしている中年男アーサーは道化師をしているが依頼主からクレームばかり受ける。同居する母親は心身ともに病んでいて心が安まらない。そんなある日同僚から拳銃を売りつけられたことから生活は一変していく…というあらすじ。不幸な中年男がさらなる出来事で不幸になっていくさまは見ているぼくとシンクロしていく…と思いきや、主人公が気弱な割には結構図々しいしかなり粗暴なので醒めてしまった。さらにウンザリしたのは『タクシードライバー』(マーティン・スコセッシ/1976)への露骨な引用。今更かよ! そこのシーンを観てからさらに醒めた。だいたい、精神を病む貧しい者がひとつの転落をきっかけに重大な犯罪をおかしてしまう、ごくありふれたというか使い古された流れを重厚な画面と音楽で彩っても、『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』(マーティン・スコセッシ/1983)への目配せでロバート・デ・ニーロを出演させても、頭からつま先まで冷え切ってしまったぼくには「ああ、そうですか…。もう終わってくんねえかな」と思っていたらクライマックス。そうか、ジョーカーは狂人なのではなく、狂人を演じている貧しい出自の人だった! 完! ああ、そうですか…と久々に落胆するような映画を見てしまってガックリしてIMAXシアターを後にした。もうアメコミ映画見ない。

観たい映画006

すっかり忘れていたのだが追加上映されている! 助かった!
フランス映画というとヌーベルバーグ映画が有名だけど、それ以前にもさまざまな名作が当然あって、ソフト化されていない作品なども含めての貴重な上映機会になっている。のだがきれいさっぱり忘れていた…上映しているのがいけ好かない場所にある恵比寿ガーデンシネマだから忌避していたのかもしれない。

*)ゴーモン 珠玉のフランス映画史
http://gaumont-movie-2019.com/

『EVIL IDOL SONG』

大畑創監督。2016年。78分。
鳴かず飛ばずのアイドルは事務所から起死回生の手段として枕営業を命じられる。煩悶する彼女の周りに不思議な現象が起こり始める…。『へんげ』(2011年)で一躍名を馳せた大畑監督の劇場公開作品。夢の中で思いついた曲のフレーズを彼女が口ずさむと周囲の生命が削れていく、というアイディアが次第に大きな騒動へと発展していくさまは『へんげ』を思わせる。政府や体制ではなく「世間」に対して一悶着を起こそうとする人物を好む大畑監督の執念がクライマックスまで貫かれる。劇場用映画より短編・PV、最近ではテレビドラマで活躍する大畑監督だが自主制作で未完の作品に『NONE』(2015年)という作品があって、なんと主役が精神病患者で、同じ病を持つ同士達が集って暴走していくという過激な映画なのだが、未完成版を一部で上映したきり音沙汰ないのが悲しい。完成版が観たい。
『EVIL IDOL SONG』はAmazonPrimeビデオにて配信中。

観たい映画005

*)ソヴィエト・フィルム・クラシックス 逝去した監督・俳優編
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/s/sfc2019.html

旧ソ連で制作された映画の特集。こういう特集をやってくれるの、アテネ・フランセ文化センターか川崎市民ミュージアムくらいになってしまったよな…いや昔からか? キラ・ムラートワ作品が観たかったので行きたい次第。アテネ・フランセの椅子は固くて尻が痛くなるけど。

『来る』

中島哲也監督。2018年。134分。
幼い頃の記憶が時折よぎる男の元に謎めいた訪問者から訪れてから、周囲に怪異現象が起こり始める。民俗学者の友人から紹介された物書きと霊能力者を頼りに事態の解明を目指す…原作は澤村伊智・作の小説『ぼぎわんが、来る』で、先にこの小説を読んでいたのだが、こちらは文句なしの大傑作。小説ならではの構成を生かした巧みなホラー小説。で、問題はこの映画。原作小説の三部構成を真っ平らな進行をする構成にしたのはしょうがないとして、中島哲也作品といえば共感できないキャラクター、凝っている割には分かりづらい映像表現、込み入った展開をする割にはハテナマークを浮かべる結末などがあるが、今回もそれを踏襲している。ぼくは映画に関しては「好き」の反対は「興味ない」なくらい「嫌い」がないのだが、中島映画はことごとく「嫌い」。どこが嫌いなのか言語化出来ないのがもどかしく、新作が出れば観てしまうジレンマ。なんか豪勢に見えるんだけど薄っぺらいんだよね。端的にいえば。驚きもないし。けれど、役者は誰も彼も良い芝居をする。特に霊能者役の小松菜奈と柴田理恵。

『ゴーストランドの惨劇』

パスカル・ロジェ監督。2018年。91分。シネマスコープ。
亡くなった伯母の家にやって来た母と娘ふたり。引っ越し作業のさなか、闇夜の中から怪しいトラックが現れる。それに乗っていたのはニュースで話題になっていた異常者たちだった…。またこういうネタか、と観て思ってしまったのは出世作『マーターズ』(2007年)も、主人公の女性が正体不明の存在に拷問のように痛めつけられる、という映画だったから。女性を痛めつけるのが監督の趣味なのかな。実際暴力描写は過激。殴られた女性の顔が非常に生々しいのだが、殴られるシーンはカメラがブレたりそれたりしているので「レイティング対策かよ! 日和ってんじゃねーよ」とツッコミを入れざるを得ない。『マーターズ』も『トールマン』(2012年)も共通して脚本の妙というか、驚愕の展開! と映画のポスターにアオリを入れられるような作りがロジェ監督の味わいなのだけど、今回もそれをじっくりと味わえる。先行するホラー映画へのオマージュみたいなものもあってマニアがニヤリとするのも良かった。ホラー映画としては70点くらいの出来。しかし。しかし。ぼくもトシを食ったのか『マーターズ』では感激していたくせに、今回は妙にモヤッとしたものを抱いてしまった。「会話が通じない異常者」によって「女性が非情な暴力にさらされる」というプロットがもう時代遅れというか、1970年代だったらまだしも、2010年代になっても、フィクションとはいえ女性を殴って蹴って痛めつけて過激でござい! と言われてもなんか白けるな、と。実際、この映画を作ったのはフランス生まれの監督で、制作がフランスとカナダ。これは妄想だけど、ホラー映画の一大産地だったアメリカでこういうサディスティックな作風の映画がなんだかんだで作れなくなったから、外国人の監督で外国の制作会社に作らせているのかなと。まあ本編と全く関係のないことを延々綴ったけれど実際本編より本編外のことが気になった次第。ちなみに『マーターズ』は大傑作です。

『天気の子』

新海誠監督。2019年。110分。ビスタビジョン。
東京に家出してきた主人公は都市伝説の調査をしているうちに晴れ空を作り出すことが出来る女の子に出会い、ふたりはその能力を使った商売を思い立つ…とあらすじにしてまとめると結構生臭い感じがするけれど、新海誠の手腕にかかると魅力的なボーイ・ミーツ・ガールものとして変化する。それが結構気持ちが良い。前作『君の名は。』(2016年)と比べると展開がストレートになっていて見やすいけれど、前作同様物語に色々とアラがあるのを感じてしまう。細田守監督作品にも思うけど、脚本家って大事だなと思う次第。とにかく絵のパワーが強いので映画館で観ると「まあいいか、きれいだし」とか思ってしまうのだけど。今回はIMAXで観たけれど、時間と機会があったらまた観てみようかな。余談だけど白石晃士監督の『オカルト』(2009年)との類似性が指摘されていたので、それを注視して観たけれど、登場人物の貧困・目的の為におかす犯罪・主人公達を導く大いなるチカラなどに類似点はあるけれど、「そりゃ、まあ似ているといっちゃ似ているよな…」と思う次第。牽強付会というか。だけど白石作品をソフィスティケイテッドすれば新海作品になるのかなと妄想したり。